労災時の病院代の支払いはどうなる?従業員の健康保険証は使えるのか?

労災が発生。

「労災」と、聞いてただけでもあわててしまうのは当然でしょう。

このページでは、労災で従業員が病院にかかった時、病院での支払いはどうなるのか。労災発生時に何度も対応した社労士が解説します。

病院の受付で聞かれること

労災が発生した場合、ケガの状態によって、救急搬送するか会社の誰かが病院に連れていくことになると思います。

病院に到着すると、受付でケガの原因について確認されます。

聞かれる内容は、第三者によるケガではないか、ケンカによるものではないか、そして仕事中のケガではないか、などです。この際、仕事中の出来事であること、どのような状態で起こり、どのようにケガをしたか説明します。

この時、今回の出来事が労災に該当するのかと思われる場合もあるでしょう。しかし、労災に該当するかどうか判断するのは、管轄の労働基準監督署です。従業員のケガが仕事中に起きた事である場合には、労災の手続きを進めます。

従業員の健康保険証は使えるのか

従業員の健康保険は使えるのではないか、とおっしゃる方がいらっしゃいますが、労災では健康保険証は使えません。

交通事故(通勤災害以外)でケガをした場合に健康保険証が使えるので、誤解されているのかもしれません。

ここで健康保険証を使ってしまった場合、一時的に診察・治療代(労災の場合、「療養費」といいます)を全額支払いをする必要が出てしまうことがあります。その場合、支払ったお金が戻ってくるのは労災に請求手続きをしてからになり、時間がかかってしまいますので、注意が必要です。

病院の支払いはどうなるのか?

従業員の健康保険証が使えないとなると、病院の診察・治療代は高額になりそうです。労災の場合、支払いはどうなるのでしょうか?

それは受診した病院が労災指定病院であるかそれ以外かによって異なります。労災指定病院かどうかは、下記のリンク先で検索することができます。

厚生労働省 労災保険指定医療機関検索 (mhlw.go.jp)

検索してみると、ほとんどの病院が労災指定病院になっています。検索がうまくいかない場合は、直接病院に聞いてしまっても大丈夫です。

労災指定病院の場合

労災指定病院の場合、窓口での支払いは不要となります。

代わりに、労災指定病院に「様式第5号」という書類の提出が必要となります。

下記の画像は様式第5号です(厚労省の記載例より)。

ただし、最近ではこの書類を提出するまで、預り金を求める病院が多いようです。

預り金の額はケガの診察・治療内容にもよりますが、10,000円としている病院が多いです。

預り金を払うと、「預り証」をもらえますので、後日、様式第5号と一緒に預り証を持って行けば返金してもらえます。

一度、様式第5号を提出すれば、以後、通院してもお金はかかりません。

ここで注意したいのは、ケガの場合、湿布や痛み止めなどの薬が出ることがあります。治療・診察した病院内の薬局ではなく、別の薬局が薬を出した場合は、そちらにも様式第5号の提出が必要になりますので、同じ内容のものを2枚作成します。

労災指定病院以外の場合

労災指定病院以外の場合は、一旦、窓口で全額負担となります。

窓口で全額支払った後、「様式第7号」を作成し、病院でケガや受診の概要などの証明を受けたあと、管轄の労働基準監督署へ提出します。

下の画像は、様式第7号です(厚労省記載例より)。赤枠の箇所に、振込先の口座番号を記入する欄があります。

ここで支払った診察・治療代は、様式第7号に記載した従業員の口座に振り込まれることになります。

この様式第7号は、会社で作成し、病院で必要事項を記載してもらったあと、さらに会社から労働基準監督署へ提出するため、支払ったお金が返金されるまで、時間がかかります。

また、全額(10割)負担なので、支払額が高額になってしまう場合があります。

このように、労災指定病院であるかどうかによって、窓口での負担や手続きにかかる時間を考えると、なるべく労災指定病院で受診できた方がよいと考えられます。

労災が発生する前に、近隣の労災指定病院を確認しておくとよいでしょう。

まとめ

  1. 労災では健康保険証は使えない
  2. 労災指定病院なら窓口負担はないが、預り金を求められることがある
  3. 労災指定病院以外は窓口で全額支払う
  4. 労災指定病院を確認しておく方とよい